外科: 胃

治療の特徴

エビデンスに則った診療

胃癌、胃GIST(消化管間葉系腫瘍)の手術治療と化学療法を担当しています。


当院は新潟県の都道府県がん診療連携拠点病院であり、日本外科学会認定医制度指定施設、日本消化器外科学会認定医制度指定施設、厚生労働省がん研究助成金指定研究班を中心とする共同研究グループ(日本臨床腫瘍研究グループ;JCOG)の胃がんグループ班員施設でもあります。


胃癌学会では治療の標準化を目指して「胃癌治療ガイドライン(http://www.jgca.jp/guideline/fourth/index.html)」、「Japanese gastric cancer treatment guidelines 2014 (ver. 4) English edition(http://link.springer.com/article/10.1007/s10120-016-0622-4)」を策定しており、一般の方向けの「胃癌治療ガイドラインの解説」も発行しております。当科の基本方針は、このガイドラインに則った根拠のある標準的医療を提供することです。


我が国でも有数の医療機関として地方がんセンターとしての責務を十分に果たしており、各病院からも高く評価されています。


高度な専門的医療(迅速かつ正確な診断・治療)

胃がんは時間と共に悪化する病気で、進み具合(ステージ)により治療法や治癒率が大きく変わります。


そのため外科、内科、放射線科(診断学・治療学)、病理学の各専門医が密接な連携を築き、迅速かつ正確な診断に基づいた最適な治療方針を決定します。初診当日に内科、外科両方の診察を受けることも可能であり、直ちに診断から治療へと進むことができます。


通常の内視鏡、CT検査などに加えて、特殊な光で観察するNBI内視鏡、超音波内視鏡、PET-CT検査などの特殊な検査で治療前や治療後効果判定をより正確に診断できます。また、手術中に切除断端やリンパ節などの転移を確認する術中迅速病理診断を積極的に行うことで、正確な病変の範囲を確定し過不足の無い手術を行うことが可能です。


中央内視鏡部 中央放射線部 放射線治療科 病理部


当科は胃がん標準治療を確立する過程で、その開発の大部分に関わってきました。現在も数多くの患者さんが、臨床試験や治験に参加されて治療を受けられています。保険診療では承認されていない薬剤あるいは治療方法(抗がん剤の腹腔内投与、分子標的薬による術前補助化学療法など)を、高度医療や治験として実施しています。


胃GISTは稀少な疾患ですが、当院では遺伝子検索や分子標的薬を用いた豊富な治療経験を有しています。


治療の基本となる外科切除では、できるだけ低侵襲で機能温存を目指した手術を積極的に導入しています。


患者さんを中心とした、体に優しく高い根治性を目指した医療

当院ではがん専門病院の強みを生かした最新の治療を提供しています。


経験豊富な専門スタッフが患者さんの病期・病状に合わせて根治性と術後QOLのバランスを考慮し、機能温存を重視した縮小手術から根治を目指した拡大手術や化学療法に至るまで、幅広い分野におよぶ多くの選択肢のなかから個々の患者さんに最も適した個別化治療をエビデンスに基づいて提供します。


学会活動や論文執筆にも力を入れており、最新の情報のもとで質の高い治療を提供するように心がけています。


患者、家族の皆様には十分に病状を説明するとともにできる限り情報の開示を行い、安心・安全を心がけわかりやすい医療行っています。


クリニカルパスを導入しており、原則として全例に用います。Enhanced Recovery After Surgery (ERAS)プログラムをいち早く組み込んだ周術期(術前~術後)管理法で、エビデンスに基づき集学的に実行します。

基本的なコンセプトは多方面の疼痛軽減策で早期離床をはかることと経口摂取を制限しないことで、回復力強化、術後合併症減少、入院期間短縮、安全性向上を目指します。

入院時にお渡しし、その後の計画を皆さんがたてやすいように配慮しています。

特に術後合併症の少ない手術を心がけており、みなさんが術後7~11日で退院しています。


クリニカルパス

クリニカルパス

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ご紹介いただいた患者さんは、必ず胃癌の専門医が主治医となり、常に同じ熟練医チームが手術および治療を担当します。


初期治療から治療後のフォローアップまで、スタッフ外科医が責任をもって患者さんを中心とした継続性のある診療を行います。


手術を受けた結果、ステージIであった場合には、手術だけでほぼ治癒が得られます。また、進行がんの治療後5年が経過すればほぼ治癒が得られます。


しかしながら、胃術後障害は長期的に続くため、地域の先生方と協力して診ています。


地域連携パス

 

早期がん

低侵襲と早期社会復帰を目的に、ガイドラインにおける適応症例(早期がん ステージIA, IB)に対しては傷の小さな腹腔鏡補助下胃切除術を積極的に施行しております。腹腔鏡手術は傷が小さく低侵襲で美容的に優れる点、ハイビジョン画像による拡大視効果でより緻密で精度の高いリンパ節郭清が可能であり、高い評価を得ています。


早期がん


短期成績に関しては開腹手術に劣らないことが確認されおり、長期予後については開腹手術と比較した全国規模の臨床試験が登録終了・追跡調査中で、その結果が待たれています。


さらに、可能な限り機能を温存する目的で、がんの治療に問題ない範囲を極力残す機能温存手術(幽門保存胃切除術、噴門側胃切除術)という体に優しい手術を積極的に行っています。


幽門保存胃切除術、噴門側胃切除術


進行がん

治る可能性が1%でも高い治療、延命効果が1日でも長く期待できる治療、可能な限り副作用や合併症の少ない治療を選択します。


必要に応じて他臓器合併切除、開胸手術、拡大リンパ節郭清などの拡大手術を積極的に行っています。


進行がん


抗がん剤や分子標的薬と外科手術を上手に組み合わせる集学的治療を行うことで、これまでは治療困難とされたステージIVの患者さんに対しても治療成績(予後)が向上することを目指して取り組んでいます。


発見時に根治切除不能と診断されても、化学療法によって根治手術が可能となる患者さんも散見されるようになり、今後の検証が待たれています。


高度リンパ節転移例、腹膜転移例、スキルス胃がんなどの治療困難例に対する治療も、治験や先進医療を用いた臨床試験が可能な場合もあり、ご相談のうえ行うことが可能です。「先進医療制度


さらに根治手術のみならず、切除不能進行・再発胃がんの患者さんを苦しめる消化管閉塞にたいして、バイパス手術や人工肛門造設などの姑息手術を積極的に行っております。


再発したがんであっても、最後まであきらめずに治療を行います。手術の適応でない胃がん患者さんについても、当科を窓口としてご紹介いただいてかまいません。


胃は消化や吸収以外にもさまざまな働きをもっています。手術後には胃術後障害(食欲不振、胸やけ、下痢、腹痛など)が発生することがありますが、がんの根治と機能温存を両立した「からだにやさしい医療」をモットーに、チーム医療として取り組んでいます。


スタッフ一同(医師のみならず看護師、薬剤師、栄養士など)が協力して対処し、みんなで支援していきます。


東5病棟 第2外来 栄養課


術後は患者さん、家族の皆さんおよび医療者との交流の場としての患者会「胃・友の会」があります。


総会、支部会、機関誌発行、趣味の会など、手術を受けられた方々がお互いに話し合ったり、楽しんだりできるような機会を多く提供しています。


胃・友の会


診療実績

固定された熟練スタッフが年間200~250例の胃がん外科治療を行っています。当院で治療される胃がん患者さんは増えていますが、早期胃がんに対する内視鏡治療の増加により、手術を受けられる患者さんの人数はほぼ横ばいの状態です。


2014年の手術件数は、胃がん208例、胃GIST11例、その他3例、合計222例でした。国内有数の豊富な手術件数を誇ります。また全体に占める腹腔鏡手術の割合が増加しています。


手術時間が短く出血量が少なく術後合併症が低率であるとともに、治療成績は良好で常に全国でもトップクラスの成績を維持しています。食道と胃のつなぎ目にできる食道胃接合部がんも積極的に治療しております。


がん種内訳(患者数)
疾患名 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
胃がん 236 215 208 190 193
胃GIST 6 10 11 5 7
その他 14 14 3 1 1

術式内訳
術 式 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
幽門側胃切除術(腹腔鏡) 121(16) 118(18) 111(24) 93(29) 128(72)
胃全摘術(腹腔鏡) 89(0) 55(0) 60(0) 61(0) 46(5)
幽門保存胃切除術(腹腔鏡) 22(0) 28(0) 13(3) 7(2) 0(0)
噴門側胃切除術(腹腔鏡) 5(0) 4(0) 10(0) 17(0) 14(4)
部分切除(腹腔鏡) 14(1) 17(0) 9(0) 15(4) 8(4)
その他 5 17 19 3 5

手術成績


手術患者の合併症
合併症 Clavien-Dindo分類 症例数 %
合併症なし 1447 85.9
I 36 2.1
II 69 4.1
IIIa 106 6.3
IIIb 15 0.9
IVa 8 0.5
IVb 2 0.1
V 2 0.1

対象: 2006/5/1–2014/12/31の期間 原発胃癌手術症例 N=1685(重複癌202例を除く)


JCOG術後合併症規準(Clavien-Dindo 分類)2011年9月JCOG 外科合併症規準小委員会より
Clavien-Dindo 分類 grading の原則


治療に関する疑問や不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。


先進医療、臨床試験を受ける患者さんへ

新潟県立がんセンター新潟病院 胃外科ではJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)、JACCRO(日本がん臨床試験推進機構)、腹腔内化学療法研究会などの一員として多施設共同の臨床研究に参加し、全国のがん専門病院や大学病院と連携して、将来の標準治療を確立し胃がんの治療成績向上に貢献すべく、数多くの臨床試験に参加し精力的に研究を行っております。


これらの研究に関しては患者さんへの十分な説明のもとに、ご理解・ご協力をお願いしながら進めております。


先進医療(すべて臨床試験あるいは治験として施行しています

名 称 研究組織 対 象
維持療法としてのavelumabと一次化学療法の継続とを比較する第III相非盲検多施設共同試験 治験
メルクセローノ株式会社
切除不能、局所進行性または転移性の胃腺癌または胃食道接合部腺癌
ONO-4538 第III相試験 胃がんに対する術後補助化学療法における多施設共同二重盲検無作為化試験 治験
小野薬品工業株式会社
Stage III 胃がん
高度リンパ節転移を有するHER2陽性胃・食道胃接合部腺癌に対する術前 trastuzumab併用化学療法の意義に関するランダム化第II相試験 日本臨床腫瘍研究グループ
JCOG
リンパ節転移を有するHER2陽性胃癌
病理学的Stage II/IIIで“vulnerable”な80歳以上の高齢者胃癌に対する開始量を減量したS-1術後補助化学療法に関するランダム化比較第III相試験 日本臨床腫瘍研究グループ
JCOG
StageII/III胃癌
局所進行胃癌における術後補助化学療法に対する周術期化学療法の優越性を検証することを目的としたランダム化比較第III相 日本臨床腫瘍研究グループ
JCOG
切除可能進行胃癌
5-FU/l-LV 療法vs. FLTAX(5-FU/l-LV+PTX)療法のランダム化第II/III 相比較試験 日本臨床腫瘍研究グループ
JCOG
腹膜転移胃がん
エトポシド/シスプラチン(EP)療法とイリノテカン/シスプラチン(IP)療法のランダム化比較試験 日本臨床腫瘍研究グループ
JCOG
消化管・肝胆膵原発の切除不能・再発NEC
術後補助化学療法としてのTS-1+Docetaxel 併用療法とTS-1 単独療法のランダム化比較第Ⅲ相試験 日本がん臨床試験推進機構
JACCRO
Stage III 胃がん
腹膜播種陽性胃癌症例に対するS-1+シスプラチン+パクリタキセル腹腔内投与併用療法の探索的臨床試験 腹腔内化学療法研究会 腹膜転移胃がん
縦隔リンパ節および大動脈周囲リンパ節の郭清効果を検討する介入研究実 食道学会・胃癌学会合同研究 食道胃接合部癌
surgical interventionの意義と適応に関するQOL scoreを使用した前向きコホート研究 胃癌学会研究推進委員会 経口摂取不能胃癌
Ramucirumab 抵抗性進行胃癌に対するramucirumab+Irinotecan併用療法のランダム化第 III相試験 インターグループ ( OGSG, JCOG, HGCSG, T-CORE, JACCRO, TCOG, CCOG, WJOG, KSCC ) 切除不能進行・再発胃癌
化学療法未治の高齢者 切除不能 進行・再発胃癌に対するCapeOX 療法の第 II 相臨床試験 東京がん化学療法研究会
TCOG
高齢(7歳以上)切除不能進行・再発胃癌
ハイリスク消化管間質腫瘍(GIST)に対する完全切除後の治療に関する研究 特定非営利活動法人稀少腫瘍研究会 ハイリスクGIST

一般社団法人National Clinical Databaseへの症例登録のお願い

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外来診療

新患外来は(月)~(金)、毎日対応しています。

不明な点は 消化器外科 藪崎 裕 医師宛にご連絡ください。

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