病理診断科

病理診断科とは

病理診断科は病院の「診療部門」の一つですが,実際には外来診察はしておらず,研究部の中の病理部で病理診断業務を行っています.外科や内科の医師は診断や治療のため,内視鏡や手術で患者さんの組織や臓器を採取または摘出することがあります.喀痰や尿の細胞,子宮から採取された細胞,気管支鏡で採取した気管支の細胞を検査することもあります.病理部では,採取された患者さんの組織や細胞から顕微鏡標本を作製し,患者さんの病気を診断しています.

“病理医”は,患者さんに直接接して治療を行ったりすることはなく,組織標本の病理診断を専門的に行う医師です.また,喀痰や尿などから細胞診標本を作り,細胞診検査士と病理医とで細胞学的な診断も行います(写真).すなわち病理部は当院の機構上は研究部の一部ですが,実際には病院が患者さんを正しく診療できるよう,「診」の領域に特化した部門なのです.

細胞学的な診断

 

病理診断ってなに?

患者さんを治療するためには,病気を正しく診断することが前提です.この為に主治医は,血液検査,生化学検査,細菌学的検査,レントゲン検査などいろんな検査を患者さんにお願いします.その中に”生検”によって得られた患者さんの組織・細胞を,顕微鏡で観察して病気を診断する病理検査があります.つまり,組織・細胞の形から病気を判断するのが“病理診断”です.病理医・細胞検査士は病理細胞診断のスペシャリストです.

病理診断

 

細胞や組織の形からの診断と言うといかにもいいかげんと思うかもしれません.しかし,例えばある人を見て,私達はその人が黄色人種か白人か黒人か,もし黄色人種ならば日本人か否かおよそ見当がつきます.性別に関してもほぼ間違わずに判断できるでしょう.これは体格,肌や髪の色,目の色,髪の長さ,肌の色やきめ,胸の膨らみ,さらには服装など,その人のあらゆる形態的特徴を観察し,自分のこれまでの経験と照らし合わせて判断しているからです.これと同じように,顕微鏡によって詳しく観察すれば,その組織・細胞の性格は十分判断出来ます.これには経験が必要ですが,熟練した病理医・細胞検査士が鏡検すれば,良性か悪性か,“がん”であるか否かは,100%とは言えないまでも95~99%は判断可能です.しかし,中には判断の難しい症例もあります.この場合は通常の染色法に加えて、免疫組織化学染色,電子顕微鏡や遺伝子検査(写真)などの検索も追加し,正しい診断に至るべく努力しています.主治医は、生検材料の病理診断を基に,その他の検査結果を加えて総合的に診断を下し,患者さんの治療法を決定します.

手術で摘出された臓器も病理部で検査します.術前の臨床診断を病理形態的に再確認することと共に,悪いところが完全に切り取られており,取り残しがないかどうか,リンパ節に転移がないかどうかも調べます.手術材料の病理診断が出て,初めてその後の治療計画を立てることが可能になると言っても過言ではありません.

また,手術中に切り取ったがんの取り残しの有無や,リンパ節転移の有無などを,凍結標本を作り迅速に診断し,手術室へ報告することもあります.この病理部の迅速診断によって,執刀医は安心して手術を進めることができます.迅速診断の結果によって,患者さんにとって最も良い手術方法が決定されることもあります.

このように病理部は患者さんの診断・治療と密接に関わっています.病理医は臨床医であり,患者さんにとってはもう一人の見えざる主治医とも言えます.

剖検も病理の業務

治療の効なく不幸にして患者さんが亡くなられた場合に,主治医が剖検(解剖)のお願いをすることがあります.剖検も病理の大切な仕事です.剖検とは,「どうしてこういう症状がでたのか?」とか,「どうして亡くならねばならなかったのか?」とか,「治療効果は十分あったのか,治療法は正しかったのか?」などの疑問に対して,病理形態学的解析によって回答することです.どんなに画像診断や特殊な診断技術が向上しても実際に身体を隅々まで調べることは出来ません.剖検によって初めて確かめられる事実も多くあります.もちろん剖検したからと言って亡くなられた患者さんは戻らないのですが,これによって明らかとなった事実が主治医の貴重な経験となり,より良い医療に結びつきます.つまり,剖検はその病院の医療の質を保証する大変重要な業務なのです.

遺伝子検査とは?

病理部では,“がん組織の遺伝子異常”の有無を調べる遺伝子検査も行っています.病理組織や細胞診検体を用いて行う遺伝子検査は,病理診断や治療方針の決定に重要な役割を果たす時代になっています.現在,肺がんEGFR遺伝子解析,大腸がんRAS遺伝子解析,悪性リンパ腫免疫関連遺伝子の検出,GIST(消化管間質腫瘍)KIT遺伝子解析,軟部腫瘍融合遺伝子の検出などを行っています.また,2008年から乳がんセンチネルリンパ節の転移の有無は,術中組織診断に変わりOSNA(One-step Nucleic Acid Amplification)法を用いて術中迅速診断しています.その他胃がん腹腔洗浄液中細胞の遺伝子学的な検出を試みています.

EGFR遺伝子検査

 

病理業務実績

1. 依頼科別件数(2014年)

  依頼科 組織診件数 細胞診件数 総件数 2013年 2012年 2011年
本院 内科 419 (3.8%) 824 (7.7%) 1,243 1,428 1,330 1,383
小児科 146 (1.3%) 201 (1.9%) 347 424 348 309
外科 1,448 (13.1%) 502 (4.7%) 1,950 1,830 2,040 2,005
整形外科 315 (2.9%) 138 (1.3%) 453 394 353 362
脳神経外科 13 (0.1%) 146 (1.4%) 159 226 244 342
呼吸器外科 442 (4.0%) 379 (3.5%) 821 784 792 835
内視鏡 281 (2.6%) 426 (4.0%) 707 661 548 528
婦人科 1,242 (11.3%) 5,056 (47.2%) 6,298 7,524 7,626 7,653
頭頸部外科 340 (3.1%) 148 (1.4%) 488 481 456 517
眼科 7 (0.1%) 0 (0.0%) 7 2 2 4
皮膚科 1,153 (10.5%) 4 (0.0%) 1,157 968 867 821
泌尿器科 946 (8.7%) 2,468 (23.0%) 3,414 3,437 3,431 3,218
放射線科 0 (0.0%) 21 (0.2%) 21 19 21 24
その他 16 (0.1%) 0 (0.0%) 16 2 0 13
院外受託 886 (8.1%) 96 (0.9%) 982 1,000 981 1,188
合計 7,654 (69.7%) 10,409 (97.2%) 18,063 19,180 19,039 19,202
がん予防センター 内科 0 (0.0%) 3 (0.0%) 3 4 0 2
外科 232 (2.1%) 229 (2.2%) 461 663 775 951
内視鏡 3,096 (28.2%) 66 (0.6%) 3,162 3,338 3,549 3,379
合計 3,328 (30.3%) 298 (2.8%) 3,626 4,005 4,324 4,332
合計 10.982 (100%) 10,707 (100%) 21,689 23,185 23,363 23,534

 

2. 臓器別件数(2014年)

  生検 手術 迅速 総件数 2013年 2012年 2011年
頭頸部 102 89 42 233 275 250 274
甲状腺 7 87 3 97 95 113 97
気管支・肺・縦隔 320 309 83 712 595 547 422
上部消化器 1,946 411 34 2,391 2,712 2,951 2,807
下部消化器 2,142 498 10 2,650 2,020 2,866 3,094
肝臓・胆道系・膵臓 63 297 77 437 309 406 314
腎臓・副腎・膀胱 34 484 25 543 462 566 561
前立腺・精巣 428 98 6 532 566 585 521
子宮・卵巣 732 569 81 1,382 1,556 1,644 1,571
骨髄・脾臓 432 37 1 470 565 573 696
皮膚 242 870 2 1,114 923 845 897
乳腺 637 355 0 992 1,062 1,112 1,180
リンパ節 123 1,222 283 1,628 1,844 1,851 1,868
骨軟部 29 197 21 247 357 199 209
その他 29 152 54 235 106 48 25
合計 7,266 5,675 722 13,663 13,447 14,556 14,536

 

3. 剖検

  2015年 2014年 2013年 2012年 2011年
内科 6 6 11 14 9
その他の科 3 1 7 1 3
合計 9 7 18 15 12

4. 遺伝子検査

  2015年 2014年 2013年
リンパ腫
免疫関連遺伝子再構成
121 163 180
胃癌
CEA mRNA検出
556 464 250
肺癌
EGFR遺伝子解析
175 68 13
大腸癌
RAS遺伝子解析
334 73 45
GIST(消化管間質腫瘍)
KIT遺伝子解析
30 34 28
軟部肉腫
融合遺伝子
327 33 207
その他 29 9 6
合計 1,572 844 729

関係サイト

日本病理学会 http://pathology.or.jp/

日本臨床細胞学会 hhttp://jscc.or.jp/


スタッフ

当院の病理部門には,専任の医師4名(2名は日本病理学会認定病理専門医・細胞診専門医)と,臨床検査技師12名(うち細胞検査士11名)が所属し、新潟県内では最も充実したスタッフを有しています.


病理医

 

非常勤