脳神経外科

特徴

当院は、新潟における地域がん診療拠点病院であり、肺がんや乳がんをはじめとする様々ながん患者を診ている病院です。

一般の病院における脳神経外科は脳および脊髄の疾病や外傷を主として手術的に治す診療科であり、その主なる疾患は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳挫傷や慢性硬膜下血腫などの頭部外傷、水頭症をはじめとする小児神経疾患、てんかんやパーキンソン病などの制御をする機能的脳神経外科疾患、髄膜炎や脳炎などの感染症そして脳腫瘍などがあります。

当院にがん患者が多く集まっていることから、当科では一般の脳神経外科と異なり、がん診療に特化した中枢神経合併症を診療する本邦では希有な存在の診療科です。

特にがんの転移性脳腫瘍、頭蓋内硬膜転移、髄膜癌腫症といった転移性中枢神経系合併症の治療と支持療法を通院や入院治療で行っています。また、がん患者に特有な脳血栓症(いわゆるトルーソー症候群と呼ばれる病態)やてんかん、抗癌剤に伴う脳炎や放射線治療に伴う白質脳症の管理なども、がん治療診療科と連携して行っています。

転移性脳腫瘍では手術、放射線治療(全脳照射や定位放射線治療)、化学療法などの治療選択が最も難しいところですので、患者や家族の方とともに丁寧に説明して、相談しながら治療を選んでいます。

がんでは残念ながら治療がうまく行かない場合もあり、中枢神経系に転移してくる訳ですが、こうした状況では何よりも神経症状を軽減させ、日常生活動作を維持していくことが重要となります。多くの支持療法を駆使して少しでも好ましくない状況を緩和する方策をご本人と相談して参ります。

また、転移性脳腫瘍の治療ばかりでなく、頻度は少ないのですが、脳にも固有の悪性腫瘍は発生し、神経膠腫や悪性リンパ腫といった大変な疾患に対して手術、放射線治療、化学療法を行っています。


診療内容

転移性脳腫瘍では、組織による治療の選択を第一に考えます。肺がんの脳転移では、癌の診断の前に脳腫瘍で発症するタイプ、肺がん手術後に脳転移が見つかるタイプ、肺がん治療前のステージングで見つかるタイプ、化学療法中に見つかるタイプに分かれ、対応もそれぞれによって異なります。さらに、小細胞肺がんやEGFR遺伝子陽性肺がんの脳転移では化学療法や分子標的薬が脳病変にも効果があるので、すぐに手術や放射線治療は行いません。脳の症状を外来で診ていきます。他の組織の肺がんの脳転移では神経症状を改善させるために治療選択を行います。外来でご相談しながら治療法を決めていきましょう。乳がんの脳転移では、ホルモンレセプターとHER-2レセプターという乳がん特有の状況で、転移の仕方が異なる特徴があります。また放射線治療が有効である場合が多いので、状況に応じた治療法選択をお勧めしていきます。

残念ながら、がんの進行している状況では、様々な中枢神経症状を呈してきます。がんの転移であったり、血栓症であったり、てんかんを生じたりします。脳の症状では、物が考えられなくなることや、失語症という言語理解ができなくなる状態や手足の脱力や記憶障害、視野障害などの日常生活が送れなくなる直接的障害が強く生じることから、その神経症状の改善や悪化を防ぐことは抗がん剤や放射線治療を進めるよりも優先されなければなりません。それぞれの病態に合った支持療法を提供するのも私たちの役割です。


診療実績

当科では、肺がんや乳がん、その他の癌腫の脳転移や脳梗塞などの合併症をコンサルトされ、軽症の場合は原発科の入院を兼科的に診察し、神経症状が重症である場合や神経症状の悪化が懸念される際に当科で入院としてみていることから、入院数には現れない診療が行われています。また、外来の大半は肺がんなどの脳転移の放射線治療後の神経症状の悪化が無いかなどを原発科とともに診察していますので、それらが下記に示す臨床指標統計数に現れています。


臨床指標統計から(直近5年間)

  平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
外来患者数(1日平均) 16.9 17.8 18.1 19.5 21.4
入院患者数(1日平均) 9.9 7.7 7.5 8.7 8.5
手術総数(年間) 35 22 18 27 30

入院患者は繰り返しの入院もあるため、年間の入院は200例ほどで、在院日数としては20日程となっています。手術は担癌患者でありその半数は全身状態を考慮して局所麻酔にて行っています。



診療データベース登録事業に関するお知らせ

現在、当院では、「日本脳神経外科学会データベース研究事業(Japan Neurosurgical Database:JND) 」に協力しています。2018年1月から当院脳神経外科に入院された患者さんの臨床データを解析させて頂き、脳神経外科医療の質の評価に役立てることを目的としています。

解析にあたって提供するデータは、提供前に個人を特定できない形に加工した上で提供しますので、患者さんの個人のプライバシーは完全に保護されます。

本研究の解析に自分のデータを使用されることを拒否される方は、当事業実施責任者の脳神経外科高橋英明にその旨お申し出下さいますようお願い致します。

その他研究事業についての資料の閲覧を希望される方は、研究班ホームページ(http://jns.umin.ac.jp)をご参照下さい。


この「日本脳神経外科学会データベース研究事業(Japan Neurosurgical Database:JND) 」事業は、2017年までのNational Clinical Database (NCD)に替わる脳神経外科独自のプロジェクトです。

詳しくは、「JND説明書(PDF)」をご覧ください。


外来診療

火曜日を除く平日の4日間の午前中に外来診察を2診体制で行なっています。主に紹介状や他科からの診療依頼の新患と放射線治療後などの再来患者を診ています。もちろん、原発科が火曜日の再診日の場合や午後の再診時間の場合、さらに緊急の事態では、いつでも診察しています。


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病棟

東4病棟が脳神経外科の病棟ですが、手術や放射線治療が終わると在宅に戻る前や近隣病院へリハビリテーションに転院するまで西6病棟の地域包括ケア病棟へ移ります。


スタッフ

高橋英明(新潟大学、昭和57年卒)

専門:脳腫瘍手術、癌の中枢神経合併症、てんかん、頭痛
研究テーマ:髄膜癌腫症の病態解明、悪性脳腫瘍とてんかん


五十川瑞穂(新潟大学、平成13年卒)

専門:悪性脳腫瘍治療、放射線治療と合併症対応、神経緩和
研究テーマ:悪性脳腫瘍の放射線治療と支持療法