内科: 消化器

紹介・特徴

消化器内科は、上部・下部消化管、肝・膵・胆道疾患の診療を精力的に行っています。日常診療に追われながらも、臨床研究と後輩や研修医への教育・指導にも労力を惜しまないのが、当科の伝統です。

内視鏡業務は、がん予防総合センターの内視鏡室で毎日、内視鏡検査および治療を行っています。1961年開院時の胃カメラの時代から消化器内視鏡の開発と技術の向上に先駆的役割を果たし、早期胃癌の内視鏡診断を確立し、1970年には内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を報告、その後も膵胆道内視鏡や小腸鏡など消化器内視鏡の開発に携わってきました。がんの疫学調査やがん検診も行い、対がん10ヵ年戦略としての胆道癌の研究が評価されています。消化性潰瘍の研究でも古くから多くの業績があり、消化性潰瘍の累積再発率、潰瘍と胃癌との関連性などからヘリコバクター・ピロリ菌感染と潰瘍や萎縮性胃炎からの発がんの問題も早くから取り組んでいます。2005年からは新潟市民における胃がん検診に内視鏡を導入する主幹をはたし、10年間の実績から内視鏡検診による死亡率減少効果を証明しました。このエビデンスをもとに、対策型胃がん検診において、胃内視鏡検診の実施が推奨されています。

学会においても教育指導的役割を担い、1993年に第45回日本消化器内視鏡学会総会、2003年に日本消化器内視鏡学会重点卒後セミナー、2014年には5回目の日本消化器内視鏡学会甲信越支部例会を担当しました。2016年に日本消化器がん検診学会関東甲信越地方会、2019年には日本消化器がん検診学会総会を新潟市で開催しました。各学会で認定された専門医や指導医が検査と指導にあたっており、日本消化器病学会認定施設、日本消化器内視鏡学会指導施設、日本胆道学会認定指導医制度指導施設、日本超音波医学会研修施設、日本膵臓学会認定指導医制度指導施設、日本肝臓学会認定施設、日本大腸肛門病学会認定施設として認定されています。


食道がん・胃がん・大腸がんの内視鏡治療

食道がんや胃がんでは、一定の条件を満たし、リンパ節などの転移の危険性が極めて低いと判断される早期がんは、内視鏡的切除で根治が可能と考えられます。当科では、このような患者さんに対して積極的に内視鏡的切除を行っています。治療前には内視鏡を用いた精密検査を行い、どの程度まで病変が拡がっているか、どの程度の深さまで浸潤しているかなどを評価する必要があります。また、CTなどの検査も行い、最終的な治療方針を決定しています。

内視鏡での切除に際しては、病変を確実に切除して、術後に再発を来たさないことが望まれます。当科では病変の大きさや局在にかかわらず一括切除が可能な内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による治療を行っています。ESDは1週間程度の入院治療が必要ですが、できるだけ負担が少ない治療を心がけています。

大腸の場合、2cm以下のポリープ状の病変には、良性の病変も多く、基本的に外来で内視鏡治療を行いますが、大きい病変や切除後に安静が必要と判断される場合は、短期入院にて内視鏡的切除を行います。がんが疑われる大きな病変などに対しては、大腸ESDを行う場合もあります。内視鏡治療の安全性には充分に注意を払って行っています。

食道がん、胃がん、大腸がんの化学療法

食道がん、胃がん、大腸がんでは、その進行度により様々な治療を検討する必要があります。治療前の検査結果や患者様ご自身の状態により外科的手術の適応がないと判断された場合、また手術後に再発・転移をきたした場合には、抗がん剤を用いた全身化学療法を行っています。また食道がんの場合には根治的、あるいは症状を緩和する目的で放射線治療を併用することもあります。

全身化学療法に用いる抗がん剤およびその投与方法・投与量については最新の臨床試験結果をもとに、患者様個々の病態に応じて安全にかつ最善の治療効果が得られるよう決定しています。ただし化学療法には必ず副作用が伴います。これら副作用に対しても、患者様が苦痛や不安なく治療を継続できるようにサポートしていきます。

化学療法の副作用以外でも病気の進行によっては、患者様にとって苦痛となる症状が出現する場合もあります。その際にはその苦痛を可能な限り和らげることができるような治療(緩和医療・ケア)も同時に行っていきます。

膵・胆道疾患の内視鏡診断と治療

膵・胆道疾患の内視鏡検査は大きく超音波内視鏡(EUS)を用いた検査と、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を用いた検査に分けられます。

EUSは内視鏡の先端に小さな探触子(エコー)が付いた専用の内視鏡を用いて、胃や十二指腸から膵臓、胆嚢、胆管、乳頭部などを観察する検査です。目的とする病変を描出するにはある程度の技術を必要としますが、膵・胆道疾患の精密検査として欠くことの出来ない検査です。

近年EUS下に病変を描出しながら穿刺が可能な内視鏡も開発され、これまで組織採取の困難であった膵臓や腹腔内リンパ節に対する生検が可能となりました。超音波内視鏡下穿刺術(EUS-FNA)と呼ばれ当科でも2014年6月より導入しこれまで500例以上の経験があります。病理部の協力もあり、穿刺後直ちに検体処理を行い適切な検体が取れているか確認しながら検査を行っていることもあり、非常に高い正診率が得られています。また、EUS-FNAを応用した治療手技にも取り組んでおり、EUS下に膵仮性嚢胞や胆管のドレナージを行っています。

ERCPは十二指腸まで内視鏡を挿入したあと膵管および胆管の開口部から造影剤を注入し、レントゲン写真を撮る検査です。詳細な膵・胆管像を得ることにより病変の局在や伸展範囲を診断することができます。胆汁や膵液を回収し細胞診に提出したり、狭窄部を生検することにより病理学的な確定診断が得られることあります。

現在ERCPは診断より治療がメインとなっており、昨年(2019年)の当科実績でも211件のERCPのうち160件、約8割が治療目的のERCPでした。治療内容としては膵がん・胆道がんによる閉塞性黄疸に対するドレナージやステント留置、総胆管結石に対する内視鏡的截石術、慢性膵炎に対するステント留置術などがあります。重症の胆管炎では治療の遅れが命に関わることもあるため緊急の胆道ドレナージを必要とすることもあります。

ERCPは偶発症の多い内視鏡検査でもあり、特に頻度の高いERCP後急性膵炎では重症化すると命に関わることもあります。当科では全例入院で施行し、膵炎予防の薬剤を投与しながら検査を行い、術後もERCP後急性膵炎がないことを確認してから食事の再開をしており、安全に検査が出来るよう取り組んでいます。

術後症例に対するERCPも積極的に行っており、これまで検査・治療が困難であった胃切除後や膵頭十二指腸切除術後の症例に対してもバルーン小腸内視鏡を用いてドレナージや結石除去を行っています。

膵・胆道がんの化学療法

膵がん、胆道がんは難治がんの代表であり、早期発見も難しいため、手術不能の状態で見つかることも少なくありません。罹患数、死亡数共に年々増えており、がん情報サービスによれば、2018年において膵がんの死亡数は男性で4位、女性で3位、全体でも4位となっています。

これまで有効な化学療法が少なかった膵・胆道がん領域でも少しずつ有効な治療が開発されてきました。少しでも治療成績を上げるためには、ガイドラインに沿った適切な治療を行うことが重要ですが、単にガイドライン通りの治療を行うだけでなく、患者さん一人一人の全身状態や背景疾患、生活環境などを考慮しながら、治療方針を決定するようにしています。

また当科は新潟県で唯一JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)の肝胆膵グループに所属しており、数多くの臨床試験に参加するとともに、全国のこの分野におけるトップレベルの施設と情報交換することで、日常診療の成績向上に努めています。

化学療法を行う場合はERCP下の生検や細胞診、EUS-FNAにて癌の確定診断を得てから、全身状態や基礎疾患、病変の広がりなどから治療方針を決定しています。特に、局所進行膵癌に関しては消化器外科、放射線科の協力も得ながら化学放射線療法も行っており、腫瘍の縮小が得られれば外科切除を考慮することもあります。

化学療法の導入時は副作用のチェックのため1~3週間の入院を要しますが、その後は基本的に通院での外来化学療法となります。治療法によっては化学療法の導入も外来で行う場合もあります。

膵がん・胆道がんでは経過中に胆管狭窄による黄疸や胆管炎、十二指腸狭窄が出現することがあります。その場合は主に内視鏡的に胆管ドレナージや十二指腸ステントの留置を行っています。また、膵がんは痛みを伴いやすいがんであり、適切な医療用麻薬を使用し、緩和ケア科とも連携を取りながら、痛みなく治療が続けていけるよう努めています。

外来診療

新患(初めて当科を受診する方)外来は、交代で担当しています。がん診療を優先するため、他の医療機関からの紹介で予約した方や、がん検診・人間ドックなどで精密検査が必要とされた方を優先させていただきます。2回目以降は予約制になっていますが、体調の悪い時などは、事前に連絡してから受診してください。各医師の診察日は、「外来診療予定表」のページへ を参照ください。

上部消化管内視鏡検査は毎日午前に、大腸内視鏡検査は毎日午後と月曜、木曜の午前に、胆膵内視鏡は水曜に行っています。

「外来診療予定表」のページへ

病棟

消化器内科病棟は7階にあり「西7病棟」です。

 

スタッフ