アイソトープ(シンチ/SPECT-CT)検査について

核医学の治療について


甲状腺がんに対する131I(ヨード)内用療法


甲状腺がヨードを取り込む性質を利用して、甲状腺がんの転移巣に131Iを摂取させ、照射を行う治療法です。

分化型甲状腺がんで、摘出手術後、転移巣あるいは残存病巣がある患者様が対象となります。

分化型癌は放射線感受性が低く大量の治療薬を投与する必要があるため、服用後数日間は放射線治療専用の病室への入院が必要となります。


  1. 2週間のヨード制限を行います。
  2. 放射線治療病室に入院し、131I(ヨード)カプセルを摂取します。(通常月曜日)
  3. 放射線のレベルが一定値以下になってから一般病室に転室します。(通常金曜日)
  4. 退院前に全身をガンマカメラで撮影し、転移巣を確認します。

ヨード制限とは?

さまざまな食品や薬に含まれるヨード(ヨウ素)を決められた期間中、摂取しないようにすることです。指示された食品や薬は摂らないようにし、食品に表示されている原材料を確認するようにしてください。

ヨードは海藻類、特にコンブに多く含まれます。魚介類や自然食品の中にヨードを含むものがあります。薬にも含むものがありますので注意してください。


主治医の指示に従い、不明な点はアイソトープ担当技師にお尋ねください。

 

 

甲状腺がんに対する131I内用療法(外来アブレーション)


甲状腺癌と診断され、手術により甲状腺をすべて取り除いても、わずかに甲状腺の細胞が残っている場合があります。アブレーションとは、このわずかに残っている甲状腺を放射線で除去する治療法です。アブレーションを行っておくと、万が一再発した場合に発見しやすくなることが知られています。従来、この治療を行うためには、専用の病室に入院して放射線管理を徹底する必要がありました。しかし、1,110MBq(メガベクレル)の投与量で一定の条件を満たせば周りの人たちへの放射線の影響を抑えることができることが証明され、2010年から外来での治療が可能となりました。


治療の詳細については以下のHPを参照ください。


外来アブレーションを受ける患者さんへ
(外部サイト:PDRファーマ株式会社)

 

 

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)に対する131I(ヨード)内用療法


バセドウ病の甲状腺がほぼ均一に、しかも特異的にヨード(ヨウ素)を取り込むという特徴を利用して甲状腺機能亢進を抑制する治療法です。

対象は、抗甲状腺薬剤療法・外科的治療法が困難な場合と、心不全などの合併症がある場合、手術後再発の場合に適用されます。


  1. 2週間のヨード制限を行います。
  2. 123I(ヨード)カプセルを服用し24時間後の放射性ヨード摂取率を測定します。
  3. 得られた摂取率と、CT画像より求めた体積より投与量を決定します。
  4. 2で決められた量の131I(ヨード)カプセルを服用します。
  5. 副作用として、治療直後、一過性の亢進症状の増悪が見られることもあります。また、晩発の甲状腺機能低下症があります。

ヨード制限とは?

さまざまな食品や薬に含まれるヨード(ヨウ素)を決められた期間中、摂取しないようにすることです。指示された食品や薬は摂らないようにし、食品に表示されている原材料を確認するようにしてください。

ヨードは海藻類、特にコンブに多く含まれます。魚介類や自然食品の中にヨードを含むものがあります。薬にも含むものがありますので注意してください。



以下のパンフレットを参考資料としてご覧ください。


バセドウ病のアイソトープ治療について 患者さんのためのパンフレット
(外部サイト:PDRファーマ株式会社)


実際の治療については主治医の指示に従い、不明な点はアイソトープ担当技師にお尋ねください。


 

 

骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対する223Ra(ラジウム)治療


男性ホルモンの分泌を抑える治療(手術療法やホルモン療法)を実施しても病状が悪化する前立腺がんのことを「去勢抵抗性前立腺がん」といいます。

もともと前立腺がんは、男性ホルモンによって増殖する性質があります。この性質を利用して、男性ホルモンの分泌や働きを抑えることにより、がん細胞の増殖を抑制する治療法がホルモン療法です。

ホルモン療法は有効性が高く、遠隔転移を有する前立腺がんの第一選択の治療法として広く行われていますが、ホルモン療法を続けるうちに効果がなくなり、再び病状が悪化することがあります。この状態が「去勢抵抗性前立腺がん」です。


実際の治療では、骨に転移した去勢抵抗性前立腺がん※に対して抗がん作用を持つ、治療用の放射性医薬品(注射薬)を用います。

この薬には、アルファ線と呼ばれる放射線を出す「ラジウム-223」という放射性物質が含まれており、骨の成分であるカルシウムと同じように骨に集まりやすい性質があります。注射で体内に送られると、代謝が活発になっているがんの骨転移巣に多く運ばれます。そして、そこから放出されるアルファ線が、骨に転移したがん細胞の増殖を抑えます。


投与回数は4週間ごとに1回です。

最大6回の注射を受けたら、治療は終了です。

 

 

神経内分泌腫瘍に対する177Lu(ルテチウム)治療


神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine Neoplasm : NEN)の細胞の表面には、ソマトスタチン受容体が多く発現しています。ルタテラ®静注(177Lu-DOTATATE)は、ソマトスタチンとよく似た物質に、放射線を出す物質(177Lu : ルテチウム)を結合させたお薬です。


ルタテラを用いた治療法は、ソマトスタチン受容体が細胞内に取り込まれる性質を利用しており、ペプチド受容体放射性核種療法(Peptide Receptor Radionuclide Therapy : PRRT)と呼ばれています。


効能と効果

ルタテラによるPRRTは事前の検査(オクトレオスキャン等)で腫瘍がソマトスタチン受容体陽性であることが確認された患者さまが適応となります。ルタテラはソマトスタチン受容体に結合し、腫瘍細胞内に取り込まれ、177Luから放出されるベータ線と呼ばれる放射線により腫瘍増殖抑制作用を発揮します。


治療の期間

治療は約8週間間隔で4回受けていただきます。1回の治療につき、1泊の入院となります。