消化器がん: 肝臓、胆嚢、膵臓

膵臓癌

近年、大腸癌・乳癌とともに膵臓癌は増加しています。膵嚢胞・慢性膵炎・糖尿病からの膵臓癌発生や家族性の膵臓癌が注目されていますが、早期発見が困難で治りにくい癌のひとつです。膵管内腫瘍・嚢胞性腫瘍や低悪性度の腫瘍も小さいうちに発見されるようになってきました。高度進行すると手術が可能であっても早期再発の恐れがあるため最近では高度進行癌に対して術前の化学療法・放射線化学療法を行ってから手術を行う方法もあります。術後の補助化学療法も積極的に行われています。各種臨床試験が行われており、今後新しい治療法が確立されていくと考えられます。


診断は血清の腫瘍マーカーの測定や超音波検査・CT・MR画像診断を行います。化学療法を行う場合の診断には超音波内視鏡検査(EUS)が重要な検査です。FNA(fine needle aspiration)により病理診断を行います。


治療は早期発見早期手術です。癌の部位によって膵頭十二指腸切除術・膵体尾部切除術・膵全摘術を行います。手術が困難な場合は化学療法を行います。


胆道癌

胆嚢癌・胆管癌・十二指腸乳頭部癌をまとめて胆道癌と言います。しかしこれらの癌は解剖学的に特徴があり、同じ胆道癌と言っても手術治療に関しては術式が大きく異なり、化学療法に関しても使用薬剤に多少の違いがあります。

胆道癌


胆嚢癌

胆嚢癌の症状は早期では無症状です。進行すると腹痛・右季肋部痛・黄疸・腫瘤触知などの症状が出ます。胆嚢癌にはよく胆石を合併しますが、胆石があると癌になりやすいということは証明されていません。無症状胆石は手術治療の対象になりません。しかし結石が充満していたり、胆嚢壁が肥厚していたり腺筋症などの慢性胆嚢炎がある場合には胆嚢癌との鑑別が困難であるので手術の適応になります。胆嚢ポリープはほとんどが良性のコレステロールポリープですが1cm以上と大きくなるものまたはポリープの茎が太いものは癌の疑いがありますので手術を多くは腹腔鏡手術を行います。また胆石症の手術後に病理診断で胆嚢癌が見つかることが希にあります。早期癌は予後がいいので早い時期に発見することが重要です。


診断は血清の腫瘍マーカーの測定や超音波検査・CT・MR画像診断を行います。胆嚢癌が疑われる場合の診断には超音波内視鏡検査(EUS)が重要な検査です。術前に生検などの病理検査は困難ですので術後の病理診断で診断が確定されます。


治療は早期発見早期手術です。癌の進行度によって胆嚢摘出術のみの簡単な手術から肝切除術・膵頭十二指腸切除術までの拡大手術を行います。手術が困難な場合は化学療法を行います。


胆管癌

胆管とは肝臓でつくられた胆汁の通る管を言います。胆管は肝内胆管・肝外胆管に分かれています。通常の胆管癌は肝外胆管から発生したものです。上部・中部・下部の三つの部位に分けられます。 症状としては黄疸・腹痛・発熱・尿の濃染・白色便などです。このような症状は胆石症特に総胆管結石症でもよく出現する症状です。以前印刷会社や機械整備などで洗浄剤を使用していた人に多くの胆管癌が発生したとの報告が見られ、現在も調査が行われています。


診断は血清の腫瘍マーカーの測定や超音波検査・CT・MR画像診断を行います。閉塞性黄疸を伴うことが多いので内視鏡的または経皮的胆道ドレナージが行われ、胆汁細胞診、胆管生検など組織学的検査で癌が証明されることが多くなっていきました。


治療は早期発見早期手術です。癌の進行度によって胆管切除術のみの簡単な手術から肝切除術・膵頭十二指腸切除術までの拡大手術を行います。手術が困難な場合は化学療法や放射線療法を行います。


肝臓癌

肝臓癌には肝細胞癌・胆管細胞癌・転移性腫瘍・肉腫があります。わが国の肝細胞癌は年々増加しています。この肝細胞癌患者は肝になんらかの疾患を有し特に肝炎・肝硬変がみられます。肝細胞癌は肝に持続的な炎症が加わり、さらに遺伝子の異常が加わり、癌が発生すると考えられています。肝癌との関連が高いウィルスにB型C型肝炎ウィルスがあります。約20%がB型で約80%がC型です。このウィルスに母親からまたは輸血などにより感染し、肝が炎症を繰り返し肝炎・肝硬変となり、B型肝癌では肝障害が落ちついているときに、C型肝癌では肝障害が活動性の時に癌が発生すると言われています。


ですから肝癌を早期に発見するためには慢性肝疾患患者・アルコール多飲者(日本ではC型肝炎ウィルス感染が多い)は定期的に診察を受ける必要があります。


まず職場や市町村の集団検診で肝炎ウィルス感染があるかどうか検査する事が大切です。


診断

肝疾患に対し血清の腫瘍マーカーの測定・超音波検査、CT・MR画像診断・生検を行い診断します。腫瘍マーカー:アルファフェトプロテイン(AFP),PIVKA-IIが慢性疾患特に肝硬変を対象に広く行われています。


治療


  1. 肝切除術
  2. ラジオ波焼灼療法
  3. 肝動脈塞栓療法
  4. 肝動脈注入化学療法
  5. 化学療法

治療は患者さんの状態とくに肝機能、癌の場所、個数などで決定され、上記の治療の一つまたは複数の方法が選択されます。


肝切除はここ10年で手術手技や術後管理の進歩により安定した成績が得られるようになってきました。肝外側区域切除や肝部分切除は腹腔鏡下の肝切除術が保険で認められるようになりより侵襲の少ない手術を行っています。肝機能がある程度良好で腫瘍が完全に切除できるものは肝切除術を第一選択とすべきと考えています。