婦人科のがん: リンパ浮腫

リンパ浮腫 : 浮腫の程度 | 予防 | 治療 | 問合

リンパ浮腫

リンパ浮腫とは、リンパ管やリンパ節の二次性の圧迫、狭窄、閉塞などによってリンパ流の阻害と減少のために生じたもので、主として四肢にみられ、原因不明の一次性(原発性)と原因が明らかな二次性(続発性)に分けられます。四肢リンパ浮腫の大部分は乳癌、子宮癌、前立腺癌などのリンパ節切除を伴う根治手術や放射線療法後に発生し、ある程度は避けられない合併症として発症しますが、リンパ浮腫の患者さんの8割以上が乳癌や子宮癌といった女性特有の癌治療後に発症しているのが現実です。リンパ浮腫では、進行とともに外見的な不満による精神的な苦痛や歩行障害を抱えるだけでなく、うっ滞したリンパ液が細菌の好適培養地となり、再発性蜂窩織炎やリンパ管炎を合併しやすくなり、さらにこれらの合併を契機にリンパ浮腫がさらに増悪し、より一層細菌が発育しやすくなり、いわゆる悪循環を形成してしまう症例もあります。厚生科学研究費助成金(がん克服戦略研究事業)の成績では(当院も参加)、下肢リンパ浮腫の発生率は頸癌38%、体癌29%で、さらに術後放射線治療を受けた症例での発生率は頸癌48%、体癌37%でした。

[ 浮腫の程度 ]

下肢リンパ浮腫の臨床的進行期分類

  • I期:自然に回復可能
  • 圧迫で窪みができる段階、起床時にはほぼ正常な太さにもどる。
  • II期:自然には回復不可能
  • スポンジ様の抵抗、圧迫で窪みができるが、もとの太さにもどらない。患部の硬化と太さが増大
  • III期(リンパ性象皮症):回復不能
  • 患部は非常に太く、組織は線維性、抵抗性である。本人は縮小手術をしたいと考える。放置すれば益々腫大し悪化する。感染の温床となり、炎症を合併する

[ 浮腫の予防 ]

下肢リンパ浮腫の予防18ヶ条(National LymphedemaNetwork(NLN)

  1. 足指、足、足首、下肢、腹部、外陰部に腫脹を気づいたら、すぐに医師と相談する。
  2. 患側の足には決して注射・点滴をしない(「注意」のブレスレットをする)。
  3. 浮腫/患側部を清潔に保つ。入浴後はローションを使い、優しく徹底的に皺指の間も乾燥させる。
  4. 患側の足では、力の入った、繰り返す動きを避ける。
  5. きつい弾性バンドのついた靴下、ストッキング、下着はしない。
  6. 入浴、日光浴では極端な温度変化を避ける。サウナも避ける。下肢を日にさらさない。
  7. 外傷を避ける:打撲、損傷、日焼や火傷、スポーツ外傷、虫刺され、引掻傷)など。感染の徴候に注意する。
  8. マニキュアは、あま皮を切るのを避ける。
  9. 医師に相談して適当な運動をする。患側の疲労を避け、痛ければ横になり高くする。歩行、水泳、軽いエアロビクス、自転車、適当なバレエやヨガなどの運動が推奨される。
  10. 飛行機旅行では、適当な圧迫ストッキングを身につける。長時間飛行では、浮腫の足には弾性帯を着用する。水分摂取を増やす。
  11. 足の脱毛は「電気かみそり」を使う。適宜かみそりの刃を交換する。
  12. 下肢に浮腫があれば、歩行時には必ず適当な圧迫ストッキングを身につける。ストッキングが緩いと圧迫が緩く、役立にたたない。
  13. 湿疹、掻痒、疼痛、発熱があれば直ちに医師に相談する。患側の浮腫に炎症(感染)が始まったか悪化の徴候である。
  14. バランスのよい低塩分、繊維食品を摂り理想体重を維持する。喫煙、アルコールを避ける。浮腫は高蛋白組織だが、低蛋白食 では改善せず結合織を弱め、悪化させる。食事は、簡単な蛋白質(チキン、魚、豆腐)が望ましい。
  15. 常にぴったりと合う靴を履く。ハイトップや深靴が推奨される。サンダル、スリッパ、裸足はよくない。水泳後は足を注意深く乾燥させる。
  16. 足の病気に詳しい医師に年に一度は診察を受ける。真菌症、爪の食いこみ、皮膚の硬結「たこ」、圧迫部、水虫のチェックと 治療。
  17. ソックスや靴下は常に清潔に。
  18. 大汗をかいたら、タルカムパウダー(滑石粉に硼酸末・香料などを加えたもの:汗止め)を使用する。タルクは、圧迫ストッキングを急いではくのに役立つ。ストツキングを急いではく場合にはゴム手袋をする。膝裏に粉をつければ、摩擦やかぶれを防ぐ。

[ 浮腫の治療 ]

当科では、腫大した患肢の状態を把握して、複合的理学療法を中心に治療を行っています。「友の会」による相談の機会もあります。

1. 治療の原則

  1. 先ず腫大した患肢のリンパ浮腫の軽減に努め、次いでその細さを維持する。
  2. 肥満があれば、体重の減少を図る
  3. 蜂窩織炎では入院治療も必要

2. 複合的理学療法

  1. スキンケア(皮膚の手入れ):感染を防ぐため
  2. マッサージによるリンパドレナージ(リンパ誘導マッサージ):リンパ管内の流れをよくするため
  3. 弾性包帯による圧迫療法(バンデージ、スリーブ):マッサージ後の弾力包帯などによる
  4. 弾性包帯圧迫のままで運動療法(浮腫緩和のための治療的運動)

[ 問い合わせ ]

病院内の医療相談室、婦人科外来

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