頭頚部のがん: 下咽頭がん
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咽頭は3つの部位(上、中、下咽頭)に分けられて、下咽頭はのど の一番下で食道との移行部にある臓器です。喉頭(のどぼとけ、声帯を含む枠組み)の後ろにあるので下咽頭がんの治療に際しては発声機能が問題になることが少なくありません。
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下咽頭がんは症状がでにくく、頸部リンパ節を起こしやすいため進行がんで発見されることが多い疾患です。ですから、のどの違和感、嚥下時の異物感、食べ物がつかえる感じ、継続するのどの痛み(時に耳へ走る痛み)などがあったら早めに病院を受診してください。他にも喉頭の近くにあることから、酷くなると嗄声(声がれ)、呼吸困難を伴ってきたりしますし、自覚症状が頸部リンパ節腫脹だけという場合もあります。
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診断は鼻腔からのファイバースコープが有用です。その際にファイバーを使用した組織生検で病理検査(病理医による組織の顕微鏡検査)を行います。さらにCT、MRIなどで進展範囲、頸部リンパ節転移、遠隔転移のていどを調べて病期分類(2005年10月改訂の頭頸部がん取り扱い規約による)を決定して進行度を判定します。また、頭頸部がんは食道がん、胃がんなどを併発することが多いので上部消化管内視鏡をお勧めしています。
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下咽頭がんの治療は当科では放射線、化学療法、手術を組み合わせ て行っています。ただし、受診時の病気の進行度、全身状態(既往症、心臓、肺、腎臓などの他の病気の具合)、年齢によって慎重に決定します。早期がんでは放射線化学療法が選択されることが多くなります。進行がんや過去に頸部に放射線治療が行われている早期がんの方には手術療法が行われます。手術の詳細は下記になります
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手術の種類は、A下咽頭・喉頭・頸部食道切除、B下咽頭・喉頭・ 食道全抜去、C下咽頭部分切除に分けられます。Aは下咽頭がんで標準的な手術で、喉頭全摘、下咽頭の一部もしくは全部を切除します。食道切除後の欠損部は空腸の一部を移植します。喉頭(声帯)を摘出しますので気管孔という呼吸の孔を頸の正中、下方に作ります。Bは下咽頭がんが食道の深くまで浸潤している場合や、何らかの理由で空腸が移植できない場合に適応になります。食道を全部切除して胃管という管を作成して咽頭(のど)の粘膜と縫合します。手術後の体へのダメージが大きいので病気の進行度、全身状態を十分考慮して慎重に適応を決めなければいけません。Cは喉頭の一部もしくは全部を保存して下咽頭粘膜を部分切除することです。この方法なら声帯温存が可能ですが、がんの喉頭(声帯)浸潤が全くないか少ない場合に限られます。A、Cの手術後の組織欠損はご自身の空腸、前腕皮弁を移植して再建します。術後は会話が可能ですが、嚥下(飲みこみの機能)の通路を切除するため嚥下障害(飲みこみにくさ)に悩む方がいらっしゃいますので嚥下リハビリ(訓練)が重要です。これらの手術は切除、下記に記す頸部郭清術、空腸や前腕皮弁などの移植がセットで行われますので10時間ほどの手術になります。頸部郭清術は下咽頭がんが頸部リンパ節に転移していたり、転移している可能性が高い場合に選択される手術です。リンパ節のみでなく連続するリンパの流れをひとかたまりにして切除します。実際には頸の大血管(頸動脈、頸静脈)、多くの神経、筋肉のまわりに細かくまとわりつく脂肪組織のみを切除する手術です。リンパ節転移の癒着のていどで内頸静脈、神経・筋肉の一部を切除することもあります。
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喉頭全摘後は声帯の喪失により発声することが不可能になります。食道発声というリハビリや電気喉頭という器具でコミュニケーションをとるのが伝統的でした。他に当科ではプロボックス手術という方法で術後患者さんの発声機能の回復に努めています。これの原理は気管・食道シャント(気管と食道の間に小さな孔をあけること)を経由して肺の空気を咽頭に送りこみ粘膜を震わせることで発声を可能にすることです。当科ではそのシャントにプロボックスボイスプロテーゼというシリコン製のチューブを留置しています。声の質はほとんど肉声に近く比較的容易に発声機能を再獲得することが可能です。
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放射線治療後は多かれ少なかれ唾液分泌量の減少がおこり、口の中の乾燥感や味覚障害が起こります。また、治療前後で虫歯、歯周炎などが悪化して治療後の生活の質を低下させることがありますので、治療前に歯科に依頼して口腔ケア(お口のチェック)することが多くなりました。
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再建術、頸部郭清術後の方は、手術後に食事や言葉の機能低下、首から肩にかけての知覚および運動障害が問題になります。当科ではなるべく治療後の機能低下が少なくなるように、嚥下リハビリ(飲み込みの訓練)、肩の運動リハビリなどを導入するようになりました。







