頭頚部のがん: 上顎がん

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鼻腔(びくう)はいわゆる鼻と呼ばれる部分で、鼻中隔(びちゅうかく)という仕切りで左右に分けられています。鼻腔の外側にある4個の空洞は副鼻腔と呼ばれます。副鼻腔のうち最も大きい空洞が上顎の上、眼の下にある上顎洞で、そこに発生したがんが上顎がんです。他の頭頸部がんと比較して頸部リンパ節転移は少ないのが特徴です。

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がんは上顎洞内におさまっているときは症状が出にくく、たまに慢性の副鼻腔炎と似た症状(鼻閉、膿性の鼻漏など)になるときもあります。がんが増大してくると下記のように進行方向によって多彩な症状があります。がんが内側に発育すると鼻閉、頭痛、出血、膿性鼻漏など、上方に発育して眼球の周りの骨を破壊すると、眼球突出や複視(ものがだぶって見えること)、下方に発育すると歯肉や上顎が腫れたり、歯痛がでます。さらに前方に発育すると顔が腫れ、側方は頬が腫れて浸潤に応じて痛みを伴います。後方に発育したときは眼の障害(動きや視力)、頭痛、開口障害(口があきにくくなる)などを呈することがあります。

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はっきりした症状が出た場合は鼻腔からのファイバースコープが有用で、視診で確認するだけでなくファイバーなどによる組織生検で病理検査(病理医による組織の顕微鏡検査)を行い診断できることがあります。ファイバーで組織生検が不可能である場合は上顎に穿刺して細胞診を行ったり、手術で歯肉を切開して組織生検して確定診断することもあります。さらにCT、MRIなどで進展範囲、頸部リンパ節転移、遠隔転移のていどを調べて病期分類(2005年10月改訂の頭頸部がん取り扱い規約による)を決定して進行度を判定します。上顎がんのほとんどは受診時に症状があり、進行がんであることが多いのが特徴です。

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上顎がんの治療は顔面が対象になるため形態の変化に注意することが必要で近くに眼球があるので視機能の温存も重要です。一般的には放射線、動脈注射による化学療法、手術を組み合わせた三者併用療法が行われることが多いです。当科ではこの併用療法を選択するときもありますし、患者さんの状況に合わせて放射線化学療法をまず開始して、反応により手術を追加していくこともあります。がんが大きく拡大切除が避けられない場合は、整容面を考慮して組織欠損部に遊離皮弁(ご自身から採取した腹直筋皮弁など)を移植することがあります。

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